ついに念願の「幹細胞移植」スタート!!
院長の雑談 2010.09.27
Animal Care-Hospital ALOHAではついに念願の「活性化リンパ球療法(CAT療法)」と「幹細胞移植」を開始しました。
活性化リンパ球療法と幹細胞移植をやりたかったのには訳があります。
たとえば椎間板ヘルニアのグレード5で来院された子に、手術をし、確かに70%以上の子は歩くことができるようになります。それは本当にうれしいことですし、飼い主さんにも喜んでいただけます。でも、グレード5まで進行していると、残りの30%近くの子は、手術をしても神経学的な改善は認められません(グレード4まではもっと改善率がいいのですが)。少しでもその子達に歩けるようになって欲しいと思い、数年前からリハビリを積極的に行い始めました。確かにリハビリの効果はすばらしく、リハビリをがんばったから歩けるようになった子もいます。
でも、でも、それでも歩けない子もやはりいるんです。リハビリで脊髄反射を強めて、脊髄歩行を促そうとしても、脊髄反射は強くなるものの、歩行までいけない子もいます。
その子達を歩けるようにしてあげたいという気持ちで、次に目指したのが幹細胞移植です。
みなさんも、テレビなどで見られたことがあるのではないでしょうか?脊髄損傷で歩けなかった人が幹細胞移植をして歩けるようになったシーンを、糖尿病でインスリンの注射が必要だった人が幹細胞移植をおこなってインスリンの注射がいらなくなったニュースを、腎不全のマウスに幹細胞を移植して腎機能が正常になったというニュースを。
幹細胞移植には今までの医学では助けることのできなかった患者さんを救うことのできる可能性があると思っています(もちろん万能ではありません)。
幹細胞を移植することで、歩けるようになる子がいるかもしれない・・・そう思うと幹細胞移植を始めたいという気持ちが抑えきれなくなっていました。幹細胞移植のトレーニングに行く日程がなかなか調整がつかず、実際ははじめようと思い立ってから、実際にできるようになるまでに半年かかってしまいましたが、ついに幹細胞移植をスタートすることができました。
幹細胞移植というと(特に移植という文字があるので)ものすごく大変な事と、思われるかもしれません。でも、幹細胞移植をおこなうには、その子のパチンコ玉程度の皮下脂肪(局所麻酔で採取します)または1ccの骨髄液(短時間だけ麻酔が必要になります)があればOKです。採取させてもらった皮下脂肪や骨髄液を大切に、そして無菌的に培養して、その中に含まれている幹細胞を増やし、点滴などで体内に戻すだけなんです。手術などが必要なわけではありません。
今、原因不明の急性の脊髄炎の子、熱射病で間脳と大脳に障害を起こした子、椎間板ヘルニアの子が幹細胞の移植の準備に入っています。
この子達が立って、歩けるようになったら・・・泣いちゃうな、きっと。
なんか幹細胞移植で盛り上がってしまって活性化リンパ球療法について書けませんでした。こちらは、また次回(^_^)ノ