IBD(炎症性腸疾患)
院長の雑談 2009.12.29
IBD(炎症性腸疾患)という病気をご存じですか?
6ヶ月も下痢が止まらないという主訴で来院されたリキちゃん、まだ1歳の柴犬です。リキちゃんは今まで別の病院でずっと治療を受けていたと言うことでしたが、どんな薬を使っても全く下痢が止まらないと言うことでした。
このような場合、慢性下痢と言うことになりますから、炎症性腸疾患やリンパ管拡張症、膵外分泌不全、リンパ腫、食物過敏症など様々な慢性下痢を起こす病気を考えていかなければいけません。
リキちゃんの場合、今までの治療経過などから考えて、まず飼い主さんに内視鏡下での腸の生検を提案しました。半年間も下痢が続く事に飼い主さんもなんとかしてあげたいと思われていましたので、すぐに生検に同意していただきました。内視鏡で十二指腸、胃、結腸をあわせて20カ所程度生検し、組織検査に出しました。組織検査の結果、リキちゃんは重度のリンパ球形質細胞性腸炎と診断されました。
リキちゃんは食事療法と腸内細菌のコントロールである程度は症状が改善しましたが、まだ少し便の回数が多いと言うことで、先日からステロイドの投与を開始しました。あとはステロイドの量を減量しながらコントロールしていかなければいけません。
症状の程度は様々ですが、炎症性腸疾患は意外に多い病気です。診断は生検でしかできませんので、慢性的な嘔吐や下痢を起こしている子は内視鏡での生検を主治医の先生に相談してみてあげてくださいね。