多発性関節炎
院長の雑談 2009.10.05
半年以上前から、後ろ足が動かないという主訴で来院したM・ダックスのアトム君。家でもほとんど動くことがないという事でした。
まず、全身の状態を確認させていただくために、全身の触診、聴診、そして神経学的検査をおこないました。
すると、見た目は椎間板ヘルニアのような感じで後ろ足が立てないのですが、神経学的検査では麻痺はないことがわかりました。
さらに血液検査ではCRPの上昇が認められ、触診で何カ所かの関節が腫れていることがわかりました。
こうなると、椎間板ヘルニアの可能性は限りなく低く、多発性関節炎の可能性が高くなってきます。レントゲンでリウマチ性関節炎ではないことを確認し、関節液を採取して検査をし、多発性関節炎と診断しました。関節リウマチも多発性関節炎も同じ、免疫介在性疾患なのですが、関節リウマチは関節が変形したり、溶解するのに対して、多発性関節炎は骨には異常はでません。
多発性関節炎と診断後、ステロイドによる治療を開始して、1週間たった昨日、飼い主さんとアトム君が再診で来院されました。
なんと、アトム君は半年間動けなかったのがうそのように、小走りに走るまでに回復していました。顔つきもとても元気そうになったんですと飼い主さんもとても喜ばれていました。
ダックスで後ろ足が動かない=椎間板ヘルニアではありません。この多発性関節炎は椎間板ヘルニアと良く誤診される病気です。
多発性関節炎はとっても痛い病気みたいで、この病気になった子は本当に動くのを嫌い、前肢も後肢も症状の出ている子はずっと動かないこともあります。アトム君も半年の間ずっと痛かったんだと思います。でも、これからは痛みもなく、走り回れます。良かったね〜。