麻酔について
院長の雑談 2018.02.13
すごく久しぶりのブログですが、今日は麻酔について僕の考えを書いてみようと思います。
みなさんは「麻酔」についてどのような印象をお持ちでしょうか?
「怖い?」「覚めなかったらどうしよう…」「この歳で麻酔しても大丈夫ですか?」などなどやはり麻酔に関してはマイナスのイメージを持たれている方が多いかもしれませんね。
ウィキペディアをみると麻酔について次のように書いてあります。
「麻酔とは、薬物などによって人為的に疼痛をはじめとする感覚をなくすことである。主に医療で治療などにおける患者・動物の苦痛を軽減させると同時に、筋の緊張を抑える目的で用いられる。これにより手術を受けることができ、また、耐え難い苦痛を取り除くことができる」
まずウィキペディアの麻酔の項目に動物に関してもちゃんと書いてあるのが素晴らしいですが、つまり麻酔とは本来は痛みや苦痛を伴う治療から動物の痛みや苦痛を取り除き、必要な処置や手術を行うためのものということですね。
麻酔のなかった時代には人でも無麻酔で手術などをしていたみたいですが、考えただけで怖いです。
先ほどのウィキペディアにも書いてありましたが、麻酔は筋肉の緊張をとって体が動かなくさせるだけではなく、痛みを取ってやることもとても大切な役目です。自分の家族である動物が少しでも痛くない方がいいですもんね。
ただ、残念なことに僕たちの業界では、人の麻酔に比べてこの部分に対して10年ほど前まではあまり積極的ではありませんでした。流石に最近は鎮痛薬を使用されない先生はほとんどいらっしゃらないと思いますが、一般的に用いる鎮痛薬って、それほど鎮痛作用が強くないんですよね。
ALOHAでは以前から一般的な鎮痛薬以外にオピオイドという鎮痛薬を併用してより動物たちの痛みを取り除くことを積極的にやっていましたが、1年ちょっと前から麻酔の専門の先生にも定期的に来ていただくようにしています。人では手術の際は麻酔科医が麻酔や鎮痛を管理しています(ドクターXとかにも出てきますよね)。僕たちの業界にも少しづつですが、麻酔科医の先生ができてきました。
麻酔の先生は鎮痛薬やオピオイドだけでなく、局所麻酔やブロック、硬膜外麻酔などを使って本当に痛みの少ない麻酔をしてくれます。痛みが少ないということは、実は麻酔薬も少なくて済むので、麻酔の安全性も高まります。なによりも手術が終わったばかりの動物の表情がとても穏やかです。あの穏やかな顔を見るたびに、ほんとうに鎮痛って大切だなあと実感します。
麻酔科医の先生が来院していただいた時には獣医師や看護師に麻酔のセミナーを行なってくれるので、当院の獣医師や看護師は麻酔に関してとても真剣ですし、動物の痛みのサインに対してとても敏感になりました。
来月東京で行われる麻酔カンファレンス(麻酔協会の学会みたいなものです)にも看護師から参加希望があり、僕と一緒に出席します。看護師自らが、麻酔や鎮痛に対してもっと勉強したいという意識はほんとうに素晴らしいと思います。こういう看護師が病院にいてくれて誇りに思います。
麻酔科医の先生に東京から定期的に来ていただくようになって、ALOHAの麻酔や鎮痛は少しずつ変わっています。今では麻酔の先生がいらっしゃらない時でも硬膜外麻酔やブロックができるようになり、本当に動物たちの痛みは少なくなったと実感しています。この間もCTや歯科処置をおこなった患者さんから、以前行っていた病院は歯石取っただけでその後少し元気がない感じだったけど、ここの病院は抜歯などもしてもっと大きな処置なのに、すごく元気でびっくりしましたと言っていただけてとても嬉しかったです
そして現在はALOHAの中に麻酔科医を作りたいと考えていて、将来麻酔科医になりたいと考えている先生を研修医として募集しています。
麻酔科医となって、周囲の病院にも依頼で麻酔に行く!そんな獣医師になって欲しいと思っています。結婚や育児のある女性の獣医師にとっても麻酔科医という職業はとてもいい仕事なのではないかと考えています。
少しでも飼い主さんの麻酔に対する考え方を変えてもらいたいと思って書き始めましたが、最後はじぶんの夢みたいになりましたね(^^;;