うちの子達を紹介します Part3
院長の雑談 2015.05.15
とっても久しぶりの「うちの子達紹介」ですが、今日はゴールデンレトリバーのフラ君を紹介します。3歳のゴールデンで、今月で4歳になります。
ALOHAができた後にうちに来たので、ALOHAにちなんだ名前でHula(フラ)と名付けました。
ものすご〜い、おっとり系のゴールデンで、子犬の時に兄弟達は犬を見に来る人が来たらフレンドリーに子犬らしく寄って行って、どんどん貰い手が決まっていったのに、ひとりのんびりしすぎて行き遅れた子です。
でも残りものには福があるとはよく言ったもので、ほんとうにいい子です。
大型犬はもともと大好きですが、ゴールデンって本当にいい犬だなあと改めて思いました。
僕のInstagramを見て下さっている方はご存じかも知れませんが、実は最近、前肢に癌ができて左前肢を断脚しています。まだ3歳なのでほんとうにつらい決断でした。
年末に少し足を痛がる素振りがあったのですが、すぐに良くなったり、悪くなったりしていました。大型犬で少し小太りなので、関節の負担や上腕二頭筋腱炎などの大型犬に多い病気だと思って安静にさせたりしていましたが、徐々に痛みが強くなってきた気がしたのでレントゲンを撮影しました。
レントゲンでは異常はありませんでした。当院ではレントゲン画像をすべてアメリカの放射線専門医(いわゆる画像専門医)の宮林先生に見て頂いていますので、宮林先生にも見て頂きましたが、やはり異常はないと言うことでした。
ただ、症状が改善がないのでCT検査をしたところ、しこりなどはないんですが、骨の一部の陰影がちょっと反対側と違うな〜っと言う程度の異常がありました。念のためにその部分の骨を一部組織をとって病理検査に出したところ悪性腫瘍と言うことがわかりました。
この年齢で骨の腫瘍となると、骨肉腫の可能性がもっとも高いのですが、犬の骨肉腫は診断された時点ですでに転移をしていることが多く、根治することは難しい病気です。ただ、痛みがどんどん強くなるので痛みをとるために断脚が推奨されています。
悪性腫瘍と診断された時はとてもつらく、かなり落ち込みましたが、家族で相談してHulaの痛みをとってやるために、そしてCTでかなり早く診断できたので、もしかしたら根治できる可能性にかけて断脚しました。
断脚後はずっと一緒に寝ていましたが、この時もいろんな事を考えました。
僕たち獣医師は骨肉腫になったら断脚するのが当たり前と多くの先生が考えていると思います。でもどれだけの先生が実際に自分の飼っている動物を断脚し、いっしょに生活した経験を持っているのでしょう。ほとんどの先生が痛みが取れれば犬はハッピーだ、人と違って足がないことにそれほど問題はないと思っていると思います。
僕もそう思っていました。
でも、自分の犬の断脚をして、いっしょに生活していると、そうではないことがとてもよく分かります。犬も自分の足がないことに戸惑い、苦しむんだと言うことをとても感じました。今まで頭をなでなでしていて、その手を止めると、もっとなでてくれといつも左手を僕の手に乗せてきました。でもその手がなくなって、それでもそちらの手を癖で動かそうとするんですよね(今は右手を出すようになりましたが)。夜に寝ていてうなされたり、痛みはないはずなのに元気がなかったりの状態が1ヶ月くらいは続きました。飼い主の僕にとってもとてもつらい1ヶ月でした。
今はすっかり元気で、本人も今の自分の置かれている状況になれてきましたので、断脚という選択にたいしては間違いではなかったと思っています。でも、こういう事も含めて飼い主さんに説明できる獣医師がどのくらいいるんでしょう。
本当にHula君には大切なことを教えてもらいました。
少しでも長く一緒の時間を作りたいので、僕が出勤するときはいつもALOHAに連れて行っています。ALOHAの駐車場やドッグランでぴょこぴょこ歩いているゴールデンがいたら、たぶんHula君です。頭をなでなでしてやって下さい(^.^)。