歯のレントゲンについて
院長の雑談 2014.07.07
続いて歯の話ですが、今回は歯のレントゲンについて書いてみます。
あそう動物病院、Animal Care-Hospital ALOHAでは獣医歯科研究会レベル認定医の院長の影響もあって、動物歯科には力を入れています。そのため、近隣の先生から破折や難抜歯、猫の全額抜歯などのご紹介をいただくことも少なくありません。
しかし、そんな歯科処置の中でやはり最も多いのは歯石除去や歯周病に伴う抜歯です。
残念なことに、動物病院で歯石除去をしたが口臭がおさまらない、くしゃみが止まらない、顔が腫れてきたなどの症状で転院されてこられる患者様も少なくありません。その多くは、目に見える部分の歯石のみを除去しただけで、歯肉のなかに隠れている病変に対してなんのアプローチもしていない場合がほとんどです。
あえて言わせて頂くと、ちゃんとした歯周病の程度の確認や抜歯をおこなう際は、レントゲン撮影をおこなわなければ絶対にいけません。
歯周病がどの程度ひどくて、抜歯が必要なのかどうか、そしてその歯根の状態はどうなのか、抜歯することの可能な歯なのかなど、レントゲンを撮影しなければ得られない情報ばかりです。
例を出して説明しますね。
たとえばこの写真わんこは、外見は歯石以外には大きな異常はありませんでした。しかしレントゲンを撮影すると、この写真の矢印の部分が重度の歯周病であごの骨が溶けていることがわかります。このまま歯石を取るだけではなんの解決にもならず、場合によってはもっと骨が溶けて顎の骨が骨折ということも起こりえます。ここまで骨が吸収された歯は抜歯が必要になります。確かに抜歯は可哀想かもしれませんが、もし抜歯をせずに置いておけば、動物の不快感は取れず、将来もっと大変な問題を起こしてしまします。
では次は別の子の写真です。
この写真の矢印のところ・・・分かりますよね?歯が折れています。でもこれは歯肉のなかで外からは見えない部分の事なので、こんな事が起きているなんて、レントゲン撮影なしではわかりません。でも歯が折れていることで痛みを感じています。
重度の歯周病や抜歯が必要と思われる歯科処置ではレントゲンの撮影がどれだけ大切か分かって頂けたと思います。もちろん、ここまでひどくならないうちにかかりつけの先生の所で歯のクリーニングをしてもらうのが一番ですし、毎日の歯磨きもとっても大切です。
でも、もしあなたのわんこやにゃんこがひどい歯周病や口臭、口を気にするなど歯から来る症状を出している場合は歯の治療に力を入れている動物病院に受診して、ちゃんとした歯科治療を受けさせてあげて下さいね。