アンズちゃん、さよなら
先日、ラブラドールのアンズちゃんが亡くなりました。
アンズちゃんと会ったのは、今から1年数ヶ月前だったと思います。いつも行かれている主治医の先生からの紹介で来院されました。
少し前から排尿がしにくく、ついにほとんど自力で出すことができなくなったと言うことで来院されました。
会陰部が外から触ってもわかるくらい腫れていて、固くなっていました。超音波の検査でも膀胱の入り口にしこりの様なものが確認され、全体の状態を確認するのと、細胞の採取のためにCT検査を行いました。CTでは膀胱三角(膀胱の入り口の部分)から尿道を取り囲むように膣まで腫瘍が浸潤し、今まで排尿が出来ていたのが不思議なくらいでした。膀胱の近くのリンパ節にもすでに転移がありました。
尿道の開口部はどこにあるのか全くわからない状態だったので、膀胱からお腹に直接カテーテルをだして、排尿をさせるための手術をしました。
でもその後、リンパ節の腫脹から後ろ足にひどいむくみが起こって、立つことも出来なくなり、食欲もなくなってしまいました。
その頃、高濃度ビタミンC点滴療法を始めていましたので、アンズちゃんにも高濃度ビタミンC点滴療法をはじめました。すると、点滴を始めて1週間目くらいで後ろ足のむくみはなくなり、とても元気に歩いたり、ご飯を食べたり出来るようになりました。これには飼い主さんだけでなく、僕たちも正直驚きました。
それから1年近い間、いつも元気な笑顔を僕たちに見せてくれていました。でも少し前くらいから、少しずつ元気がなくなり、先日大好きなおうちで、家族の方に見送られて亡くなりました。すっごい元気な子だったので、きっと今頃は虹の橋で走り回っていると思います。
この子には本当にいろいろな事を教えてもらいました。高濃度ビタミンC点滴療法のすばらしさももちろんですが、完治させることのできない癌の末期の子に対してどんどん治療をすることだけがいいのではなく、その子が残った時間を飼い主さん苦痛なく楽しく過ごさせてあげることの大切さ。
もちろん、根治の可能性がある癌は積極的な治療をするべきだと僕は思います。でも、根治の可能性がない、さらに末期の癌に対して、動物に強い負担を強いる治療をおこなったり、飼い主さんの心が疲れ切ってしまうような治療をおこなう治療に疑問を感じていました。高濃度ビタミンC点滴療法や活性化リンパ球療法を始めたのも、そのような考えからです。
アンズちゃんは、僕のその考えに、きっと賛成してくれると思います。
亡くなる数日前に、少し病院でお預かりしたのですが、その時のアンちゃんの写真、大切にするね。