無菌性結節性脂肪識炎
3カ月前からの皮膚炎で、ずっと治療するもどんどん悪化しているという事で来院されたハッピーちゃん。
体中の皮膚にしこりができ、そこから膿や漿液が出ていました。
まず、診察室でハッピーちゃんの外見を見て、思ったのが「無菌性結節性脂肪識炎」という病気です。
この病気は外見上、化膿しているように見えるのに、実は感染はなく、免疫異常で起こる病気で、数年前からうちのブログでも書いている「縫合糸反応性肉芽腫」とも似た病気です。実際、「縫合糸反応性肉芽腫」も糸の周りに肉芽腫を作るだけでなく、このような全身のしこりと、排膿を起こすこともあります。
この病気の診断は、培養検査で感染が否定されること、そして病理検査が必要になります。病理検査とは、皮膚の一部を切除して、組織検査を行うことですから、積極的な治療にはなります。でもこの病気の場合、治療はステロイドやその他の免疫抑制剤を使用することになりますから、確定診断をせず、試験的に治療を行うことは、絶対に良くないことです。
また、皮膚病理検査も、ほとんどの場合、局所麻酔で行えますから、それ程リスクのある検査ではありません。
飼い主さんに、そのようなお話しをさせて頂き、少し費用がかかるのですが病理検査のご提案をしました。飼い主さんは、どんどん悪くなると言うこともあり、必要と思われる検査をして下さいという事でしたので、すぐに局所麻酔での皮膚生検を行い、病理検査に出し、さらに細菌培養検査もさせて頂きました。
検査の結果、病原体は検出されず、病理検査でも「無菌性結節性脂肪識炎」という検査結果が帰ってきました。
すごくひどい状態ですが、敵(病気)の事はわかりました。あとはそれに対する治療をするだけです。
きっと良くなってくれると思います。