膵炎と脾臓破裂

2月は入院している子が多く、とてもばたばたしています。
先日、知り合いの先生から紹介して頂いたラブラドールのアンズちゃん。膵炎を疑われて、紹介されてきました。血液検査やエコーなどの検査で、やはり膵炎が疑われ、内科療法を行っていました。
来院されたときはDICも起こしていて、CRPという炎症の指標となる数字も振り切り、黄疸も出ていました。治療を続けることで、DICも改善し、炎症も治まってきましたが、どうしても嘔吐がなかなかなくならず、食欲もでません。
食事を食べなくなって5日以上経過しても食欲がでないため、高カロリー輸液を始めて、アンズちゃんが回復するまで、体力を持たせるようにしていました。
そして、食べなくなって2週間目の昨日、やっと自分から食事をとるようになってくれました(^。^)
もしこれが高カロリー輸液をおこなっていなければ、もしかしたらアンズちゃんの回復はなかったかもしれません。高カロリー輸液は感染に対する管理も必要ですし、その子その子に併せてカロリー計算から配合を計算し、調剤しなければいけません。アンズちゃんが入院しているときは、アンズちゃん以外にも2匹の子が高カロリー輸液を受けていましたから、高カロリー輸液の調剤だけでも、結構な時間がかかっていました。手間や管理には気を遣いますが、でもそのおかげで元気になってくれれば、そういう苦労は吹き飛びますね。
そして、アンズちゃんと入れ替えのように入院したG・シェパードのシンバ君。1カ月前から元気がなく、他院にずっと入院していたそうです。その病院では肝臓が悪いと言われ、精密検査としてCT検査が提案されていたそうですが、状態が悪く、CTのための麻酔がかけれないと言うことで、一時退院となったそうです。
身体検査を行うと、可視粘膜の蒼白と腹部の膨満と、波動感が認められました。血液検査では貧血が認められ、超音波検査で脾臓に腫瘤があることと、腹水が認められました。腹水を検査のために吸引すると、腹水は血液でした。こうなると、脾臓の腫瘍と、その破裂に伴う出血をもっとも疑います。その上、シンバ君もDICになっていました。早急な手術が本来であれば必要ですが、DICの状態での手術は非常に危険なため、輸血と内科療法でDICの状態から回復させた後、翌日手術を行いました。おなかの中は術前に想像したとおり、脾臓の腫瘍とその破裂を起こしており、腹腔内には血液が2L以上もたまっていました。ほんと、よくここまでがんばっていました。
脾臓を摘出し、翌日から元気も食欲も回復し、ひどかった貧血も術後2日でほぼ正常まで回復しました。脾臓の病理検査によっては、今後化学療法が必要になるかもしれませんが、ひとまず緊急の状態からは脱出することができました。
そしてシンバ君と入れ替えのように今日入院したシーズーのマーク君。交通事故で、骨盤骨折と股関節脱臼が認められ、さらに尿路造影で前立腺部の尿道断裂が認められました。朝から緊急で手術をおこなったため、午前中に来院された方には、少しお待ち頂くことになりました。このような緊急の手術が入った場合、外来を担当する獣医師の数が減ってしまうため、待ち時間が長くなってします。ただ、このように緊急の手術が必要な時は非常にまれですので、ご理解頂ければと思います。マーク君が元気になるように、全力で治療したいと思います。


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