リンパ腫
以前にも、何度かこのブログでリンパ腫の事は書いたと思うのですが、最近、本当にリンパ腫が増えた気がします。うちの病院で昨年1年でおそらく10例以上のリンパ腫を診断したと思います。
犬のリンパ腫の年間発生率は10万頭あたり13?24頭で、これは人のリンパ腫の2倍の発生率と言われています。でも、明らかにもっと多いような気がしてしまいます。
また、犬のリンパ腫の中では多中心型という体表のリンパ節が腫れてくるタイプが最も多く、リンパ腫全体の約80%といわれています。でも、ここ数年、うちの病院ではなぜか消化器型の割合が高いという傾向にあります。
多中心型は体表のリンパ節が腫大してくるので、飼い主さんでも異常に気づきやすく、見逃しているとは考えにくいため、消化器型やその他のタイプのリンパ腫の診断率が上がったためなのかもしれません。
先日も食欲不振で来院したシェパードのふくちゃんの腹部エコーで、腸管の一部の粘膜が非常に肥厚しているのが分かり、検査からリンパ腫の疑いが高いということがわかり、開腹手術をおこないました。エコーで粘膜が肥厚していると確認された腸管は暗赤色になっていましたが、いわゆるしこりは作っていません。でも、明らかに異常で、切除し、病理検査に出したところ、やはりリンパ腫という診断結果でした。今後は化学療法(いわゆる抗がん剤)による治療になっていきますが、少しでも長く飼い主さんといっしょに生活できればと思います。