肛門周囲腺腫
肛門のしこりから出血しているという主訴で来院されたジョー君。15才のプードルです。
肛門周囲腺腫は一般的に去勢していない雄に発生する良性腫瘍です。でも良性腫瘍と言ってもこの腫瘍は自壊しやすく比較的小さいうちから出血を起こします。また、肛門の周りに起こる腫瘍なので、大きくなったら、肛門を巻き込むようになってしまい、摘出が難しくなることもあります。
男性ホルモンが影響していると言われており、去勢している雄や雌犬には発生は非常にまれです。
実はジョー君、数年前にもこの腫瘍の摘出を受けたそうです。その時に、なぜか飼い主さんは先生に去勢手術をすすめられたのに、断ったそうです。去勢手術をすることで再発の可能性を低くすることができるという説明をおそらくその時手術された先生はされたのではないかと思うのですが、うまく飼い主さんに伝わらなかったんでしょう。その時に去勢手術をしとけば、今回の腫瘍の手術はしなくても良かったかもしれません。
確かに飼い主さんの考えを尊重することは大切だと思いますが、十分なインフォームドをすること(たとえば今回のような腫瘍の場合、去勢手術をしなければ、近い将来にまた同じ事になりますというような説明)はとても大切なことです。
今回は当然、去勢手術を同時におこないましたし、その上ジョー君は歯周病で犬歯の抜け落ちたところの穴が鼻まで通じている口鼻瘻管というものもあったので、その部分の修復もしました。口の不快感も取れて、すっきりしたことと思います。