目が痛いんです
お正月の間に目が痛そうで、眼脂が多いということで来院されたシーズーのメロンちゃん。
眼を観察してみると、重度の角膜潰瘍でデスメ膜瘤という眼球破裂寸前の状態でした。その上、潰瘍の範囲も広く、本当にひどい状態でした。
お正月休みが明けるまで点眼で・・・・なんてことは言ってられません。
ここまでひどい角膜潰瘍は点眼の治療では改善が期待できないため、手術を行わなければいけません。メロンちゃんの場合、デスメ膜瘤でその上、その部分が広いため、結膜の半周から結膜皮弁を作成して潰瘍部を覆う中心橋状結膜皮弁という手術を行いました。
また術前検査の血液検査で肝酵素が高いことが分かり、追加のエコー検査で両側の副腎が腫大しているため、クッシング症候群という病気が隠れている可能性がが高くなりました。クッシング症候群があると、角膜潰瘍が悪化するだけでなく、せっかく手術してもうまく治癒しないこともありますから、この病気があるのかを早期に確認しなければいけません。
メロンちゃんは手術の翌日にACTH刺激試験を行い、クッシング症候群に間違いないことが確定診断されましたから、角膜潰瘍の治療と併せて、クッシング症候群の治療もおこなっていくことになりました。
このように、病気を起こしたり、ひどくなったり、改善が悪い場合、なんらかの基礎疾患が潜んでいる可能性があります。今回の様に眼の病気だけでなく、どのような病気でも目の前の病気や症状だけに目をとらわれるのではなく、動物の全体を観察し、奥に潜む病気を見つけて、治療することはとても大切なことなんです。