ネックリージョン
ごはんを欲しがるのに、食べる量が減っているという主訴で来院した猫のアルちゃん。飼い主さんが食べ方が今までと違うと言うことでしたので、まずは口の中を観察してみました。
しかし、肉眼で確認する限りは口内炎などの大きな異常は認められず、中程度の歯石が付着している程度です。ただ、猫の場合肉眼的に大きな異常が認められなくても、ネックリージョンという病態が歯石の下に隠れている可能性があります。ネックリージョンははっきりした原因は分かっていないのですが、歯がどんどん吸収されていく病気で、肉眼的には人の虫歯のひどいもののように見えます。しかし、虫歯の治療のように詰め物をすることでは直すことはできず、治療は抜歯しかありません。
アルちゃんも、はじめの口腔内チェックで一カ所の歯肉に不自然な発赤があったため、麻酔下での検査をおすすめしました。
すると3本の歯にネックリージョンが認められ、その歯は歯肉の境目の部分で吸収されており、歯からの出血も認められました(写真のまん中あたりに見える歯の、歯茎との境目の部分が赤く吸収されているのがわかるでしょうか)。これは痛いはずです。
この異常が認められた3本の歯を抜歯して、治療を終えました。
これで痛みからは解放されます。口の痛みを気にせずに、ごはんが食べれるね。