腹ごしらえは十分

受付時間も終了して、最後の患者さんを診察がはじまりました。
最後の患者さんは4日前に交通事故にあってから元気、食欲がないという主訴で来院されたカイ君でした。カイ君は昨日も近くの病院に行って、打撲以外異常なしということでしたが、やはり元気がないと言うことで来院されました。
身体検査では4日食べておらず、水もほとんど飲んでいないと言うことでかなりの脱水がありましたが、それ以上に腹部膨満（おなかがふくれている）が気になりました。レントゲンを撮影してみると、おなかの中には液体がたまっています。交通事故でおなかに液体がたまっているということになると、出血による血液や膀胱などの尿路の損傷で起こる尿の漏出を疑います。すぐに腹水を少量抜いて、検査を行いました。その結果、カイ君のおなかの中には尿がいっぱいたまっていることが分かりました。つまり膀胱の破裂や尿管・尿道の断列が疑われます。
当然、緊急で手術が必要になりますが、その前に尿路造影で破けている場所の特定が必要なこと、脱水と尿毒症で状態が非常に悪いため、まずはおなかのなかにカテーテルを入れて、尿を抜くこと、脱水と電解質を補正するための点滴が必要です。カイ君は尿を抜きながら1時間急速に点滴を行い、その後尿路造影を行ってから手術に入ることにしました。すでに9時前になっていたので、手術が終わって、カイ君が安定するまで看護していると12時はすぎると思われましたから、点滴を行っている間に交代で食事を取ることにしました。
僕が子供の頃からある「えびすや」という食堂に出前を注文しました。この「えびすや」さん、味もおいしいんですが、その量が半端ではありません。アメフトのボールのようなオムライスは松永の人はみんな知っているんではないかと思います。
「えびすや」さんのおいしい食事を交代でいただき、準備OKです。十分な点滴ができたので、尿路造影を行い、手術にはいりました。カイ君のおなかの中は尿の漏出でひどい腹膜炎を起こしていました。おなかの中を十分に洗浄し、破けていた尿道を縫合し、再度おなかの中を洗浄後、尿道カテーテルと、腹腔ドレーンを留置して手術は終了しました。尿道部の損傷が激しいため、まだ安心はできませんが、尿も十分カテーテルから出ていますので、元気になってくれるのではないかと思います。
こういう時に出前をしてくれるお店は本当に助かります。「えびすや」さん、今後もよろしくお願いします<(_ _)>