良かったね
今日、去勢手術で来院した猫のりゅうくん。
絶食もOKということでしたし、健康診断や術前の血液検査でも異常がありませんでしたから、麻酔の導入に入りました。
ところが、麻酔前投薬(麻酔の前に使う鎮静剤など)を投与した後に嘔吐をしました。絶食してもらっていますから、嘔吐があっても少量の胃液程度しか通常は出ないはずですが、なんとりゅう君は写真の様な大きな異物をはき出しました。また、嘔吐したときにおそらくピンで食道を傷つけたのか、少し出血もしました。すぐに内視鏡で食道の状態を確認し、念のために他の異物がないか胃の中も確認しました。幸い食道の傷は非常に軽く、問題なく手術も終わり、術後3時間後には与えた食事ももりもり食べていました。
でもたまたま嘔吐してくれたから良かったようなものの、もし嘔吐しなかったら、間違いなく腸閉塞を起こしていたのではないかと思います。今回、去勢手術でお預かりしていましたから、もし病院で嘔吐せずに、おうちに帰って異物が腸閉塞を起こして調子が悪くなってしまったら、多くの飼い主さんは手術したせいで調子が悪くなったと思われるでしょう。そう考えると、対象の動物がしゃべってくれないので、非常に僕たちの仕事はリスクがある仕事だと思います。
よく書いていることですから、もう聞き飽きたかもしれませんが、よく動物を観察してあげてください。飼い主さんの観察が動物の命を救うこともたくさんあると思います。