リンパ腫
1ヶ月にもわたる慢性下痢と食欲不振で来院したW・コーギーのジャムちゃん。体重は元気な時には13Kgあったらしいのですが、病院に来た時は7Kgしかありませんでした。血液検査で低アルブミン血症と貧血が認められ、レントゲンでおなかの中にしこりが見つかりました。超音波でそのしこりを見てみると、やや低エコーなしこりで腸間膜リンパ節の腫大が疑われました。エコー下で針によるバイオプシーを行ったところリンパ腫と診断されました。飼い主さんと相談の上、化学療法(抗がん剤)の治療を開始しました。昨日の夜にまず弱いタイプの抗がん剤を入れましたが、今日の段階で食欲もあり、アルブミンも上昇してきました。もう1?2日状態が改善するのを待って、本格的な化学療法に入っていこうと思っています。なんとか完全寛解(肉眼上癌が見当たらない状態)まで行って欲しいものです。
ジャムちゃんの場合、消化器型リンパ腫といって犬のリンパ腫の10%以下の比較的少ないタイプで、体表のリンパ節が腫れていないため、今まで行かれていた病院でなかなか診断がつかなかったのではないかと思いますが、犬におこるリンパ腫の80%以上は多中心型といって体の表面のリンパ節が腫れてくるタイプです。そのため、飼い主さんの日ごろのチェックで早期に異常に気づいてあげる事が可能です。日ごろからパートナーの体を触診してあげてくださいね。体の外から触れて日ごろからチェックしてあげて欲しいリンパ節は下顎リンパ節(下顎の付け根辺り)、浅頚リンパ節(肩の前側、首の付け根辺り)、腋窩リンパ節(脇の下)、鼡径リンパ節(またの部分)、膝窩リンパ節(ひざの裏側)です。もし大きく腫れているようなら病院で検査してあげてくださいね。