粘液嚢腫
一昨日の夜に嘔吐の主訴で来院したデューク君。嘔吐の回数はそれ程でもなかったのですが、シュナウザーという犬種と前腹部(おなかの前の方)に痛みが強いため、念のために膵炎と肝臓の検査を行いました。その結果、膵炎はないものの、肝酵素とくにALKPという胆管系の数字が高く、軽度の黄疸が認められました。エコーでも胆のうの重度の拡張と粘液瘤腫様の像が見られ、また胆嚢周辺の炎症像も確認されたため、胆嚢破裂と診断し、開腹手術を行いました。開腹してみると想像していたとおり、胆嚢は破裂し、その内容物がおなかの中に漏れだし、腹膜炎を起こしていました。癒着をはがし、胆嚢を切除し、総胆管を何度も洗浄して開通を確認し、十分な洗浄後、腹膜炎を管理するためのドレーンを入れて手術を終えました。今日の検査で、黄疸や肝酵素の数字は低下してきており、まだまだ腹痛はありますが、少しずつ食事も取るようになってきました。このまま元気になって欲しいものです。
胆嚢のなかにたまっていたものは、いわゆる胆汁や胆石とはことなり、ゼリー状の(といっても普通のゼリーよりもずっと硬い)ものでした。このような病気は突然起こるようですが、実際はずっと前から異常は起こり始めています。事前に異常を発見するために、健康診断や1年に一回程度の検査は必要かもしれませんね。
写真は先日オーストラリアに研修に行ったとき、見学した野生動物の動物病院で保護されて、袋で育てられているカンガルーの赤ちゃんです。やっぱり袋が落ち着くんですね。