甲状腺機能亢進症
みなさん、甲状腺機能亢進症って病気を聞かれたことありますか?
まさに名前の通り、甲状腺の機能が亢進してしまう病気です。人の場合はバセドウ氏病が有名ですよね。
この病気になると甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるために、動悸や息切れ、体重減少や高血圧などさまざまな症状を出します。
そして、じつはこの病気は高齢の猫に非常に多い病気なんです。ただ、厳密に言うと人のバセドウ氏病は自己免疫疾患といって自分の体内の免疫に異常をきたして起こる病気なのですが、猫の甲状腺機能亢進症は甲状腺の過形成や甲状腺腫(甲状腺の良性腫瘍)が多くの原因です。
この病気に猫さんがなると食欲はすごくあるのに痩せていく(まれに食欲が低下することもあります)、落ち着きがない、下痢・嘔吐、多飲多尿、呼吸が荒い、脱毛、大きな声でなくなどの様々な症状が出てきます。ただ、この病気に特徴的な症状はないため、この病気を疑って検査しなければ診断することはできません。そして、この病気を掘っておくと、心臓や腎臓に過剰の負担をかけてしまいます。
治療はお薬で過剰に分泌されている甲状腺ホルモンを抑えていく治療や、外科手術で甲状腺を摘出する治療、ヨードを制限した食事で抑えていく治療などがあります。
実はうちのちゃーくんがこの病気になってしまったので、先日甲状腺の摘出をおこないました。ちゃーくんの甲状腺はCT検査で片側が大きく腫れていることが分かりましたので、そちら側の甲状腺の摘出をおこないました。手術の翌日から高かった甲状腺ホルモンは低下して、術後の経過は非常に良好です。手術の合併症でおこる事のある低カルシウムも起こっていません。
甲状腺機能亢進症の猫はとても痩せて、毛艶なども悪く、すごく年を取ったように見えます。ちゃー君も少し痩せましたから、はやくもとの体重まで戻って欲しいなと思います。
ちなみに先程症状のところで書いた猫が大きな声で鳴いたり、夜泣きという症状は高血圧でよく出る症状です。甲状腺機能亢進症以外でも慢性腎臓病などの猫にもよく出る症状なので、もしこのような症状が出る場合は、はやめに病院で検診を受けて下さいね。