化学療法
乳腺腫瘍で来院したポコちゃん。乳腺にあったしこりは1cm程度の小さなものがひとつで、まさかそれほど進行していると僕も飼い主さんも思っていませんでした。でも術前検査を行うと、肺には転移と思われる1.5cm程度の影がひとつ、またエコーで肝臓には15cm程度の大きなしこりが確認されました。犬の乳腺腫瘍でこのサイズのものが転移することはまれなため、肝臓のしこりに関しては乳腺腫瘍とは別のものではないかと、はじめは考えていました。ただ、実際に手術で摘出すると、乳腺の小さなしこりは乳腺腺癌で、肝臓の大きなしこりも乳腺腺癌の転移という病理診断でした。乳腺腫瘍に対する化学療法はそれ程効果があるとは考えられていませんが、ポコちゃんの為にどのようなことでもしてあげたいという飼い主さんと相談した結果、可能性にかけて化学療法を開始しました。写真の矢印の先に見えるのが腫瘍です。
そしてこれが化学療法(抗癌剤)を2回使用した時点でのレントゲンです。肉眼的には転移した腫瘍は見えなくなっています。ポコちゃんの場合は、非常に良く化学療法に反応しました。すべての子や腫瘍でこのように反応するわけではありませんが、このように反応する場合もあるのです。