もうすぐ7歳になります

4歳の誕生日のすぐあとにリンパ節の腫れで来院したコーギーの章太郎君。検査の結果リンパ腫と診断されました。リンパ腫は簡単に言えばリンパ節の癌で、犬での発生率は10万頭に24頭(5000頭に1頭)と言われています。リンパ腫の治療は化学療法(いわゆる抗ガン剤)が中心となりますが、リンパ腫を化学療法で治療する際に、まず目標となるのが「完全寛解」です。これは外見上、しこりなどがすべて消失し、癌が見えなくなった状態のことです。そしてこの完全寛解から「再燃」(再発と言わずに再燃と言います)するまでの期間を寛解期間といいます。リンパ腫に対する化学療法のプロトコールはたくさんの種類があり、プロトコールごとに完全寛解率(完全寛解できる確率)、寛解期間(寛解できた期間)、平均生存期間などがデーターとして出ています。現在、寛解率・寛解期間・平均生存期間ではUW-25というプロトコールがいいとされており、僕もこのプロトコールを中心におこなっています。UW-25の完全寛解率は85?95%、寛解期間は9ヶ月、生存期間は12?13ヶ月です
章太郎君も診断後からこのUW-25のプロトコールで化学療法を開始しました。化学療法を開始して3週間で完全寛解が得られ、その後化学療法のプロトコールが終了するまで(25週)寛解していたため、一度化学療法を終了しました。化学療法終了後6ヶ月で再燃。再度化学療法を開始しました。再燃後は寛解率が半分になると言われていますが、章太郎君の場合は2回目も寛解することができました。しかし、その後2回目の再燃。この時は腫瘍細胞が中枢神経系に浸潤したため、ひどい発作がでたりしましたが、この時もなんとか寛解することができました。そして、先日3回目の再燃。この時は肝臓や脾臓だけでなく、血液中にもリンパ腫の細胞が多数出現していました。様々なレスキュー療法に使われる化学療法を使いましたが、効果がなく、あれだけ元気で食欲のあった章太郎君がどんどんやせていきました。でも、あきらめずに化学療法を続けたところ、完全寛解まではいきませんが、血液中の腫瘍細胞は消失し、元気と食欲が戻ってきました。先日来院してくれたときも、僕の手を食べるかの勢いでおやつを食べてくれました。本当によくがんばっています。とってもいい子で、病院に来るたびに僕の手からおいしそうにおやつを食べてくれます。リンパ腫になってもう3年ですが、まだ7歳です。もっともっと長生きして欲しいと思います。


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