獣医腎泌尿器学会に参加してきました

8月24日（日）に東京でおこなわれた獣医腎泌尿器学会に参加してきました。
今回は尿管ステントの内容が多く、今、この治療が注目されている事がよく分かりました。
数年前から猫の尿管結石が増えていると実感していました。アメリカでおこなわれている尿管結石に対するステントが日本でも必要になってくると思い、海外のセミナーなどに参加したり、著名な先生の手術を見学させていただいたりと早くからこの手術に対して準備してきていました。その当時は知り合いの先生などに話しても、猫の尿管結石はそれほど見ないとみんな言っていましたが、やっとみんなこの病気が増えてきていることを感じてきたんだと思います。
多くの子はちゃんと検査をされないまま、腎不全と診断されていると思われ、おそらくもっと多くの子がこの病気で苦しんでいるあるいは亡くなっていると思われます。尿管結石の診断はエコーで腎盂の拡張のチェックが必要です。血液検査だけで腎不全と診断されている場合（とくに元気だった子が急に調子が悪くなって腎不全と診断された時など）はエコーの検査をぜひしてもらって下さい。尿管結石による閉塞の場合、内科療法での反応は10％程度といわれており、救命するためには尿管ステントなどの手術が有効です。

写真は先日、全耳道切除の手術をしたボス君のCTです。斜頚と顔面神経の麻痺を主訴に来院されました。CT検査の結果、左の鼓室包（いわゆる中耳です）の中が充満しており、鼓室包の周囲の骨が溶けていました。ただ、造影とオトスコープ（耳の内視鏡）の検査の結果、腫瘍ではないことが分かりましたので、手術をおこないました。鼓室包の中はチーズのような膿と垢でいっぱいでした。きれいに洗浄し、ドレーンを入れて手術を終了しました。現在はドレーンも抜けて、とても元気です。