避妊手術をしているのに発情?
他院で2年前に避妊手術をしているのに、昨年から発情のような行動が出て、なきわめいているという主訴で来院された猫のティアラちゃん。
病院でも確かに発情のような行動をしています。この場合次のような3つのパターンが考えられます。
1.避妊手術時の卵巣の取り残し。
2.正常の卵巣は摘出できていて、それ以外の場所に卵巣のような組織が存在する先天的な奇形。
3.肉眼では見えない程度の卵巣の細胞が手術時におなかのなかに落ちて、そこから再生している(実際に報告されています)。
いずれが原因にしても、卵巣を探して摘出するのが一番なのですが、取り残しの場合は、本来卵巣のある場所にありますから、見つけるのは簡単ですが、そうではない場合(上の2、3の場合)、見つからない可能性もゼロではありません。もし、見つからなければ、ホルモン製剤で発情を抑えていくと言うことになります。しかし、ずっと使っていかなければいけませんから、手術で摘出する方がいいのは間違いありません。
ティアラちゃんの飼い主さんはホルモン製剤ではなく、卵巣の摘出を希望されましたが、おなかをあける前に、本当に卵巣が残っているかを確認したいということでした。
そこでホルモンの検査を行うことになりました。ホルモン検査の結果、黄体ホルモンがかなり高値を示していました。これでまず間違いありません。
そして手術を行いました。卵巣は簡単に見つけることができ、無事摘出することができました。発情兆候でかわいそうなくらい鳴いていたティアラちゃんも今後発情兆候を示すことはなくなりますし、ティアラちゃんの鳴き声で睡眠不足だった飼い主さんもゆっくり眠ることができると思います。
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写真の鉗子で示した先にある、楕円形のやや白っぽいものが再生していた卵巣です。